「応用セットアップガイド」の版間の差分
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A) 第1部:サスペンションの周波数<br> | A) 第1部:サスペンションの周波数<br> | ||
− | + | 剛性は車重に対して相対的なものなので、剛性でチューニングするのではなく、バネ振動数をチューニングする必要があります。そうなんです、ほとんどの人がそう思っているので、心配しないでください。バネ剛性が高いと周波数が高くなり、その逆もしかり。周波数が低いと、タイヤができるだけ路面に接するようになり、最大限のグリップが得られますが、同時にボディロールが大きくなります(タイヤが荷重に敏感なため、最大グリップが減少します)。高い周波数は、その逆を行います。 | |
− | 実際のところ、GTレーシングカーに代表される1トン前後の車では、1.9~2. | + | 実際のところ、GTレーシングカーに代表される1トン前後の車では、1.9~2.2Hz程度が最適とされています。しかし、この周波数が自動的にLFSに最適であるとは限りません。重量が増加すると、この最適な周波数は減少し、その逆もまた然りです。ゲーム内で最も重いクルマの重量は1.2トン強ですから、2Hzがスタート地点として適しており、これより低くすることはお勧めしません。軽いクルマの場合は、3Hzくらいが最適かもしれませんが、LFSのロードカーでそこまで上げるのはおすすめしません。何がベストなのか、試してみてください。F1カーは4〜8Hzの範囲で使用することが知られていますが、これには理由があり、第3部で説明します。 |
ラリークロスのセットアップは、1.7〜1.9Hzと柔らかめで、車高に余裕を持たせたほうがよいでしょう。これはタイヤがコースのすべてのバンプに追従できるようにするためで、ダートの性質がよりソフトであることにも起因しています。 | ラリークロスのセットアップは、1.7〜1.9Hzと柔らかめで、車高に余裕を持たせたほうがよいでしょう。これはタイヤがコースのすべてのバンプに追従できるようにするためで、ダートの性質がよりソフトであることにも起因しています。 | ||
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[[image:sus3.gif]] | [[image:sus3.gif]] | ||
− | + | 下図は、伸側減衰を低く設定した場合の影響です。紫色の線は臨界減衰力、緑色の線は減衰力不足です。臨界減衰されたスプリングは、減衰力不足のスプリングよりも先に静止位置へ落ち着いているのがわかります。これは、臨界減衰されたサスペンションが、バンプにできるだけ早く対応し、回復していることを意味します。 | |
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この写真はオーバーダンピングを表しています(紫色の線が減衰の少ないスプリング、緑色の線が減衰の多いスプリングを表しています)。減衰が高すぎる場合、スプリングが静止位置に落ち着くまで時間がかかります。 | この写真はオーバーダンピングを表しています(紫色の線が減衰の少ないスプリング、緑色の線が減衰の多いスプリングを表しています)。減衰が高すぎる場合、スプリングが静止位置に落ち着くまで時間がかかります。 | ||
− | + | しかし、最適な伸側減衰は臨界減衰の約80%であることが知られており、サスペンションアナライザーはこれを簡単に考慮しています。そのため、基準値としては、「最適ダンピング」が表示されるように伸側減衰を設定すればよいのです。 | |
バンプの減衰力は、伸側減衰力の50~75%に設定するのが一般的で、これは実際のレーシングカーが使用している値に近いと思われます。多くのセットアップがこれよりも高い値を使用しており、時には伸側減衰よりも高い値に設定されているのを見たことがあります。個人的には75%くらいがちょうどいいと思います。圧縮ダンピングを高くすることの利点は、通常、車高を低くできることです。コーナリング中やバンプを乗り越えるときに、サスペンションのトラベルが少なくなるため、それほど多くのトラベルを必要としないかもしれません。バンプのダンピングが高すぎると、ホイールがバンプを飛び越え、トラクションが減少します。一般に、滑らかなサーキットでは圧縮ダンピングを強くします。圧縮ダンピングを限界まで強くすると、さらなる問題が生じます。 | バンプの減衰力は、伸側減衰力の50~75%に設定するのが一般的で、これは実際のレーシングカーが使用している値に近いと思われます。多くのセットアップがこれよりも高い値を使用しており、時には伸側減衰よりも高い値に設定されているのを見たことがあります。個人的には75%くらいがちょうどいいと思います。圧縮ダンピングを高くすることの利点は、通常、車高を低くできることです。コーナリング中やバンプを乗り越えるときに、サスペンションのトラベルが少なくなるため、それほど多くのトラベルを必要としないかもしれません。バンプのダンピングが高すぎると、ホイールがバンプを飛び越え、トラクションが減少します。一般に、滑らかなサーキットでは圧縮ダンピングを強くします。圧縮ダンピングを限界まで強くすると、さらなる問題が生じます。 | ||
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''“圧縮ストロークはバネのない質量の動きを制御し、伸長ストロークはバネのある質量の動きを制御する。”'' | ''“圧縮ストロークはバネのない質量の動きを制御し、伸長ストロークはバネのある質量の動きを制御する。”'' | ||
− | + | 事実上、バンプの設定はホイールの動きを、リバウンドの設定はシャシーの動きをコントロールするものです。つまり、バンプをコントロールするためには主に圧側減衰を調整し、過渡的なハンドリングのためには伸側減衰を調整することになります。それぞれのセッティングで何度も走行して、自分のフィーリングやクルマに合ったものを見つけてください。実験が重要なのです。 | |
一般的には、過渡的なダンピングをニュートラルにして(下記参照)、そこからFR車なら少しアンダーステア、FF車なら少しオーバーステアといった感じで調整するのが良いと思います。このあたりは、クルマにどのようなハンドリングを求めるか、また、ご自身のドライビングスキルによります。 | 一般的には、過渡的なダンピングをニュートラルにして(下記参照)、そこからFR車なら少しアンダーステア、FF車なら少しオーバーステアといった感じで調整するのが良いと思います。このあたりは、クルマにどのようなハンドリングを求めるか、また、ご自身のドライビングスキルによります。 | ||
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あなただけではありません。ステアリングが完全にリニアであることを好む人もいます。問題ありません。「その他のオプション」にある「ステアリング補正」を下げることで、ステアリングをリニアまたはよりリニアにすることができます(今のところ)。 | あなただけではありません。ステアリングが完全にリニアであることを好む人もいます。問題ありません。「その他のオプション」にある「ステアリング補正」を下げることで、ステアリングをリニアまたはよりリニアにすることができます(今のところ)。 | ||
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中心部はまさにリアルだが、端のほうではゲームホイールがより動く。 | 中心部はまさにリアルだが、端のほうではゲームホイールがより動く。 | ||
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いつでもリアルなわけではなく、全領域で完全にリニアなのです。 | いつでもリアルなわけではなく、全領域で完全にリニアなのです。 | ||
ロジクール Driving Force Proのホイールは900度の回転が可能なので、すべてのクルマでリニアなステアリングを実現することができます。LFSの「ホイールターン」設定を運転するクルマのものに合わせ、コントロールパネルのDFP FFB設定で「回転角度」を同じ数値に設定するだけで、リニアステアリングを実現できます。そうすれば、ステア補正は影響を受けないはずです。付録として、各車両のロックトロック回転数のリストがあります。 | ロジクール Driving Force Proのホイールは900度の回転が可能なので、すべてのクルマでリニアなステアリングを実現することができます。LFSの「ホイールターン」設定を運転するクルマのものに合わせ、コントロールパネルのDFP FFB設定で「回転角度」を同じ数値に設定するだけで、リニアステアリングを実現できます。そうすれば、ステア補正は影響を受けないはずです。付録として、各車両のロックトロック回転数のリストがあります。 |
2022年8月24日 (水) 06:24時点における最新版
By Bob Smith
はじめに
これは上級者向けのセットアップガイドで、表面をなぞるのではなく、(必要な部分は)詳細に説明していくので、読むべきところがたくさんあります。各セッティングがどのような働きをするのかを説明し、実際に何を調整しているのか、また、どのようにセッティングを調整すれば(ラップタイムの点で)最適なのか、あるいはあなたのドライビングスタイル(と能力)に最も適したものになるのかを理解できるようにしたいと思います。私はできるだけわかりやすく説明するつもりですが、ある部分はかなり専門的で、技術者でない人が説明するのは無理なのです。もし何かで混乱したら、深呼吸をして、その段落を最初から読み直してみてください。それでもよくわからない場合は、遠慮なくご連絡いただければ、より詳しくご説明します。読む前に、セットアップのオプションについてある程度把握し、少しいじることに慣れておくとよいかもしれません。いずれにせよ、あなたは試したことがあるはずです。
もし何か間違ったことを見つけたり、もっと良い説明の仕方を知っていたら、ぜひ教えてください。bobsmith at xenocracy.plus.com (訳注:翻訳版の問い合わせは控えましょう)
車のセッティングは常に妥協の産物です。理想的と思われるセッティングに変更すると、大抵は他の部分が台無しになります。この芸術的なセッティングは、どんなセッティングをするかということではなく、お互いのセッティング、クルマ、コース、そしてあなたの運転の仕方と調和するようにすることなのです。そして、それは簡単なことではありません。だからこそ、このガイドがあるのです。
ブレーキ
レースはただ前に速く加速すれば良いというものではなく、出来る限り早く、そして短い距離で減速することが重要です。
有り難いことに、2つの項目を調整するだけで完璧に近づけることができます。特に、デフォルトのセッティングは非常に優れているので、ブレーキを調整するのは比較的早く、簡単にできるはずだということです。
車輪あたりの最大 & リア-フロント バイアス
Q) これらは何を意味しているの?
A) 基本的に 車輪あたりの最大 はブレーキペダルを完全に踏み込んだときのブレーキの強さを表し、リア-フロント バイアス はブレーキの強さを前輪と後輪でどう分けるかをコントロールします(0%の設定は後輪のみにブレーキがかかり、100%の設定は前輪のみにブレーキがかかり、50%の設定は前輪と後輪が等しくブレーキがかかるという意味です)。なお、ブレーキは5%~95%の範囲でしか調整できないので、先ほどの例のうち2つは、ゲーム上では実際には不可能なものです。LFSのブレーキにはニーポイントがないようなので、その点は安心ですね。
Q) どう調整すればいいの?
A) ブレーキバランスを完璧に近づけるには、何回もテストを繰り返しましょう。はじめに、タイヤを最適な温度に上げて下さい。冷えたタイヤは、温まったタイヤに比べてグリップ力が小さいため、最適温度に温めるのは非常に大事なポイントとなります。その後、平らな場所でスピードを上げて(ディップ後のブラックウッドが便利)、フォースビューに切り替え(Fボタン)、ブレーキを踏んでください。百聞は一見にしかず、ぜひご覧ください。
注意: これらのスクリーンショットはバージョン0.3のものですが、説明のために必要な部分には特に違いはありません。
例1: ブレーキバランスの値が高すぎる状態
この例では、フロントタイヤがロックしています。リアタイヤはスピードを落とすのにあまり役に立っていません。ステアリングが働くフロントホイールがロックしてしまうと、あなたは車の向きを変えることが出来ません。そのため、クルマは直線を突っ走ってしまうのです。ロックしたホイールは、タイヤの接地面を急速に加熱し、過熱したタイヤは急速にグリップを失います。 長い間ロックさせてしまうと、タイヤにフラットスポットを作ってしまう原因にもなります。
例2: ブレーキバランスの値が低すぎる状態
これはリアタイヤがロックしている状態です。後輪をロックすると、特にステアリングを少しロックした場合、車両のオーバーステアが促進され、カウンターステアリングが得意でない限り、すぐに車のコントロールを失うことになります。そうでなければ、あのバリアにコンニチワしてください。コーナーでトレールブレーキをかけるのが好きな人には、最適なセットアップではありません。
例3: 制動力が高すぎる状態
解決策:1輪あたりのMaxをxxx Nm下げる。全輪をロックすると、緩い路面では最も速く停止できますが、完全に制御不能になり、車が勝手に動くので、確かに良いアイデアとは言えません。また、ブレーキバランスが正しく設定されているかどうかを判断することもできません。
例4: 完璧?
これは正確には違います。四輪ともかなり限界に近い状態ですが、これは他の要素(エンジンブレーキなど)を考慮しない場合です。
注意: これはデフォルトのセットアップのブレーキセッティングです。
例5: コントロールされた状態
これが私の車(今回はXR GT)の走り方です。何を変えたか?まず、通常時に車輪がロックしないように、ブレーキの強さを少し弱くしました。それよりも、エンジンブレーキを考慮したブレーキバランスに変更しました。FRの場合はブレーキが少し前に出過ぎた状態(写真参照)、FFの場合はブレーキが少し後ろに出過ぎた状態で走らせるのがベストです。AWD車の場合は、トルク・スプリットの設定によります。このように、ブレーキング時にシフトダウンすることで、よりコントロール性を高めることができます。シフトダウンが早いほど、駆動輪に追加の制動力がかかります。このことを考慮してブレーキを設定しないと、シフトダウンしたときに車輪がロックする可能性が非常に高くなります。
ここからセッティングを微調整する必要があるかもしれませんが、その必要性を見極めるためには、実際にレースをする必要があります。路面によってグリップ力が違うので、あるところではブレーキ力を上げても、別のところではすでにホイールをロックさせている可能性があるのです。
理想的には、最もグリップのある部分でホイールがロックしそうになるようにブレーキ力を設定し、他の部分でブレーキ量を変化させることができます。ブレーキ用のデジタルコントローラー(ボタンなど)を使っているユーザーは、究極のブレーキ力を犠牲にしてブレーキ圧を低くするか、ブレーキヘルプのドライビングエイドを使って、ロックアップを防ぐことができますが、アナログコントローラーでできるようなブレーキ力はありません。
また、ダウンフォース(ネガティブリフトと呼んでもよい)は、スピードに比例してグリップを増加させるため、考慮すべき事項のひとつです。そのため、高速走行時にはブレーキがロックしないのに、低速走行時には簡単にロックしてしまう可能性があります。高速で思いっきりブレーキをかけたいなら、残念ながらこれを回避する方法はありません。サーキットで最も速いブレーキングポイントに合わせてブレーキをセットアップし、低速コーナーではブレーキを甘くするのが一番手っ取り早い。また、タイトなコーナーで高速からブレーキをかけると、スピードとグリップを大きく削り取ることになる。つまり、ロックアップを避けるために、ブレーキをかけながら、ゆっくりとブレーキペダルから足を離す必要があるのです。
ブレーキセッティングの話にはもうひとつ、「坂」があります。サーキットは、その性質上、ぐるりと回っているので、坂を登れば、また下っていくことになる。坂の多いコースでは、坂道でブレーキをかけることが多くなる。下り坂でブレーキをかけると、前輪にかかる重量が増えるので、ロックする前にブレーキをかける力が強くなり、もちろん後輪にかかる重量は減るので、ロックしやすくなり、その結果すべての悪い副作用が生じます。つまり、前後輪のバイアスをわずかにフロントにシフトする必要があるのです(数値を大きくする)。上り坂でのブレーキはその逆で、より後方にバイアスをかける必要があります(数値を小さく)。もちろん、ブレーキングする勾配の角度は、サーキットのすべてのコーナーで固定されているわけではありませんから、妥協が必要なのです。サーキットが常にフラットでない限り、すべてのコーナーでブレーキが完璧であることはあり得ないので、自分のドライビングに最も適した妥協点を見つけるには、実験するしかないです。
設定を調整する際には、フォースビューを使い続けることを忘れないでください。
NB:そのように運転しようとするのではなく、フォースなしで運転し、リプレイを保存し、フォースビューで見るのが便利かもしれません。
サスペンション
サスペンションは、車のハンドリングを調整する主な方法です。ここで行った変更は、通常、最適なパフォーマンスレベルを維持するために他の設定を変更することを意味します。
車高を落とす
Q) これは何をするの?
A) 車に装着されているスプリングの無負荷時の長さです。
Q) どう調整すればいいの?
A) これは、すべてのサスペンションオプションの中で最後に設定するのがベストです。サスペンションアナライザーにサスペンションの詳細を入力し、「サスペンション荷重とトラベル」セクションを開くと、どれだけのトラベルが残っているかが分かります。未使用のトラベルは不必要に車高を高くし、重心を上げ、重量移動を増加させ、最大利用可能グリップを低下させます。ただし、ローダウン/ローダウンの前にGフォースを設定することを忘れないでください。最大横Gと最大縦Gの両方がどの程度残っているかを確認します。どのポイントでもストロークがなくなってはいけません(注意:最大横Gと最大縦Gを1つずつかけてください)。レース中にサスペンションのストロークがなくなると、バンプストップにぶつかり、予想外のハンドリングを引き起こし、強くぶつかるとサスペンションにダメージを与えます。最大Gフォースは車種やタイヤの選択によって異なりますので、付録のGフォーステーブルをご参照ください。
これで車高の基準となる数値がわかります。完全にフラットなコースであれば、この車高で問題ありませんが、コースの凸凹を考慮した車高にする必要があります。もちろん、コースやコース上のラインによって、この値は変わってきます。F1 perf viewを使い、距離対サスペンショントラベルのグラフを表示させます。サスペンションが底付きしなくなるまで、フロントとリアのトラベルを上げ続けてください。サーキットの2カ所でサスペンションを底上げするのがベストかもしれません(ハンドリングを乱したりダメージを与えたりしない限りは)。
最後に、車高を調整する際に考慮すべきことは、車体のスタティックピッチの角度です。理想は常にフラット(ピッチなし)であることですが、加速したりブレーキをかけたりすることが多いので、そうもいきません(よほど硬いサスペンションとスチールタイヤでもない限り)。ボディピッチが大きくなることは、一般的に悪いことです。これは、車の下の空気がより小さいスペースに圧縮されることを意味するので、車の後部に上向きの力を及ぼし、グリップを(ほんの少しですが)減少させます。しかし、加速するとクルマは少したわむので、少しスタティックダイブするようにセットアップするのがベストでしょう(どの程度かはクルマや他のサスペンションの設定によります)。
注:LFSは実はまだこの最後の段落を考慮に入れていません。いつかは...。
スプリングの硬さ
Q) これは何をするの?
A) これは単純にスプリングの硬さのことで、硬いスプリングは柔らかいスプリングに比べて荷重による圧縮量が少ない。
Q) どう調整すればいいの?
A) 第1部:サスペンションの周波数
剛性は車重に対して相対的なものなので、剛性でチューニングするのではなく、バネ振動数をチューニングする必要があります。そうなんです、ほとんどの人がそう思っているので、心配しないでください。バネ剛性が高いと周波数が高くなり、その逆もしかり。周波数が低いと、タイヤができるだけ路面に接するようになり、最大限のグリップが得られますが、同時にボディロールが大きくなります(タイヤが荷重に敏感なため、最大グリップが減少します)。高い周波数は、その逆を行います。
実際のところ、GTレーシングカーに代表される1トン前後の車では、1.9~2.2Hz程度が最適とされています。しかし、この周波数が自動的にLFSに最適であるとは限りません。重量が増加すると、この最適な周波数は減少し、その逆もまた然りです。ゲーム内で最も重いクルマの重量は1.2トン強ですから、2Hzがスタート地点として適しており、これより低くすることはお勧めしません。軽いクルマの場合は、3Hzくらいが最適かもしれませんが、LFSのロードカーでそこまで上げるのはおすすめしません。何がベストなのか、試してみてください。F1カーは4〜8Hzの範囲で使用することが知られていますが、これには理由があり、第3部で説明します。
ラリークロスのセットアップは、1.7〜1.9Hzと柔らかめで、車高に余裕を持たせたほうがよいでしょう。これはタイヤがコースのすべてのバンプに追従できるようにするためで、ダートの性質がよりソフトであることにも起因しています。
では、サスペンションの周波数はどこで知ることができるのでしょうか?ColcobのSetup Analyserはこれらの数値を表示しますが、これはv0.3のもので、執筆時点ではまだ最新バージョンに更新されていません。しかし、このアナライザーは、適切なS2カーのデータを入力することで、手動でアップデートすることが可能です。
スプリングの振動数を変えることによるもうひとつの効果は、ハンドリングへの影響です。周波数が高いと、ステアリング入力に対する車の反応が良くなりますが、高く設定しすぎると車がナーバスになります。周波数が低いと、車の反応は鈍くなりますが、車をよりチャッカブル(chuckable)にすることができます(つまり、コーナーに投げ込んでもそれほど気にならない)。つまり、使用する周波数には有効な範囲があり、その中間にスイートスポットがあるのです。
第2部:車のバランス
サスペンションでできることの2つ目は、クルマのバランスを変えることです。これはとても便利なことです。周波数が同じであればハンドリングはニュートラルになると思われるかもしれませんが、それは路面幅が同じ場合のみです。フロントがリヤより広い場合、リヤのバネ定数を少し高くするとニュートラルになります。実際のレーシングカーはFRなので、基本的にアンダーステアとなるため、リアの周波数はフロントより0.15〜0.25Hz程度低くても問題ないでしょう。しかし、タイヤのスリップ角の性質上、若干のオーバーステアがある方が速いので、できるだけ低い方がよいでしょう。スロットルコントロールとカウンターステアリングの能力が高ければ高いほど、アンダーステアは少なくなり、オーバーステアは多くなります。FF車の場合、フロントよりリアをこの量くらい硬くしたい(見方によっては、フロントをリヤより柔らかくしたい)でしょう。もしクルマをよりニュートラルにしたいのであれば、周波数の差を小さくしてください。(ただし、カーバランスに影響を与える設定は周波数だけではありません(実際、ほとんどの設定が影響します)。言える事は、これは2つの主要な方法のうちの1つで、もう1つはアンチロールです)。
それでもクルマのハンドリングが思うようにならない場合は、他のセッティングを変更する必要があるか、あるいはあなたのドライビングスタイルが原因かもしれません(ただし、それはこのガイドの目的ではありません)。
第3部:ダウンフォースの工夫
残念ながら、何かが比較的シンプルに思えたとき、別の何かがやってきて問題を複雑にしてしまう。この場合、その何かとはダウンフォースのことです。ダウンフォースとは、スピードが上がれば上がるほど、空気で車を地面に押し付け、タイヤを地面に押し付ける力が強くなり、グリップが向上することです。もちろんスピードが上がれば上がるほど、スプリングにかかる力は大きくなり、車高は下がります(ほとんどの場合、前後均等に下がるわけではないので、カーピッチも変わります)。また、車高が変わると車輪のキャンバーも変わるので、高速コーナーでも低速コーナーでもキャンバーを完璧につけることは難しくなります。
ダウンフォースはバネ振動数には影響しないので、ダンピングにも影響しないことに注意してください(旧版のガイドに記載されていた内容とは異なります)。
ここで、F1マシンの話に戻りますが、なぜあれほど高いバネ定数を採用しているのでしょうか?第一に、F1カーは大量のダウンフォースで走るので、車を路面に固定する力のほとんどは、車の重量よりもダウンフォースによるものだからです。しかし、これでは車が逆さまに走ったり(例えば、橋の下側)、おかしなレースになってしまう。では、なぜダウンフォースのあるクルマは、サスペンションを硬くしなければならないのか?それは、先に述べたように、車高、ピッチ(ダウンフォースに影響)、キャンバーが変化するためです。サスペンションが硬いと、サーキットを周回してもこれらの特性の変化が少なく、セットアップがしやすくなります。また、ダウンフォースは、空気がクルマの上を正しい方向に流れているときにのみ発生する。そのため、スリップアングルが大きいとダウンフォースが減少してしまうので、最適なスリップアングルが小さいタイヤが使われるのです。また、トラクションが失われたときにクルマが折れてしまうため、バネ定数を高くすることで、メリット(クルマのコントロール性を高める)はあってもデメリット(限界を超えたときのハンドリングの悪化)はあまり問題にされなくなりました。
F1マシンがこれほど高い振動数(そしてサスペンションの移動量はごくわずか)を採用しているもうひとつの理由は、例えばGTレースとは異なり、サイドウォールがかなり高いソフトタイヤを使っているからです。サイドウォールの高さが衝撃を和らげ、ドライバーの視界を確保するのです(サスペンションの周波数が高すぎると、非平坦な路面でのドライバーの視界が損なわれてしまいます)。
バンプとリバウンド ダンピング
Q) これらは何をするの?
A) これらは、ビジュアルで説明するのが一番わかりやすいと思います。
バネの上におもりを載せて放すと、おもりの位置は下のグラフの緑色の線で示される。紫色の線は、バネにある程度のバンプ(圧縮)減衰がある場合のおもりの位置を示しています。
重りが下に移動するときは抵抗があり、動きが遅くなることがわかります。一方、上に戻るときは抵抗がありません。 下のグラフはその逆で、「リバウンドダンピング」を表しています。この場合、おもりの落下時には抵抗がありませんが、上昇時には動きが遅くなります。
つまり、圧縮減衰はバネの圧縮に抵抗し、伸縮減衰はバネの伸びに抵抗するものです。
XF GTi、XR GT、UF1000について、ひとこと。
バンプとリバウンドのダンピングを別々に調整できなくなりました(セットアップをよりシンプルにするため)。代わりに表示される「ダンピング」値は、実際には伸側減衰の値であり、圧側減衰はこの値の50%に自動的に設定されます。
Q) どう調整すればいいの? A) ありがたいことに、どのようなセッティングをすればいいのか、とても簡単に知ることができます。チューニングしたいクルマの Suspension Analyser ファイルを開き、フロントとリアのサスペンションの剛性を入力すると、スプレッドシートがクリティカルダンピングと呼ばれるものを計算します。クリティカルダンピングとは、動き出したサスペンションの動きを最も早く止めるために必要な伸側減衰の強さを指します。図解で説明します。
下図は、伸側減衰を低く設定した場合の影響です。紫色の線は臨界減衰力、緑色の線は減衰力不足です。臨界減衰されたスプリングは、減衰力不足のスプリングよりも先に静止位置へ落ち着いているのがわかります。これは、臨界減衰されたサスペンションが、バンプにできるだけ早く対応し、回復していることを意味します。
この写真はオーバーダンピングを表しています(紫色の線が減衰の少ないスプリング、緑色の線が減衰の多いスプリングを表しています)。減衰が高すぎる場合、スプリングが静止位置に落ち着くまで時間がかかります。
しかし、最適な伸側減衰は臨界減衰の約80%であることが知られており、サスペンションアナライザーはこれを簡単に考慮しています。そのため、基準値としては、「最適ダンピング」が表示されるように伸側減衰を設定すればよいのです。
バンプの減衰力は、伸側減衰力の50~75%に設定するのが一般的で、これは実際のレーシングカーが使用している値に近いと思われます。多くのセットアップがこれよりも高い値を使用しており、時には伸側減衰よりも高い値に設定されているのを見たことがあります。個人的には75%くらいがちょうどいいと思います。圧縮ダンピングを高くすることの利点は、通常、車高を低くできることです。コーナリング中やバンプを乗り越えるときに、サスペンションのトラベルが少なくなるため、それほど多くのトラベルを必要としないかもしれません。バンプのダンピングが高すぎると、ホイールがバンプを飛び越え、トラクションが減少します。一般に、滑らかなサーキットでは圧縮ダンピングを強くします。圧縮ダンピングを限界まで強くすると、さらなる問題が生じます。
ダンパーをチューニングすることでできるもうひとつのことは、ハンドリングの微調整です。これは、スプリングとアンチロールのセッティングにかなり満足した段階で行うのがベストです。セットアップ・アナライザーの最新バージョンは、ここで必要とされる過渡的なダンピングを計算します。どのようなダンパー設定でも、過渡的な効果を得るために調整することができますが、ここであまりオーバーまたはアンダーステアを作ろうとしないことをお勧めします。圧縮ダンパーと伸側ダンパーのどちらを調整するのが良いですか?
キャロル・スミスの言葉を借りるなら:
“圧縮ストロークはバネのない質量の動きを制御し、伸長ストロークはバネのある質量の動きを制御する。”
事実上、バンプの設定はホイールの動きを、リバウンドの設定はシャシーの動きをコントロールするものです。つまり、バンプをコントロールするためには主に圧側減衰を調整し、過渡的なハンドリングのためには伸側減衰を調整することになります。それぞれのセッティングで何度も走行して、自分のフィーリングやクルマに合ったものを見つけてください。実験が重要なのです。
一般的には、過渡的なダンピングをニュートラルにして(下記参照)、そこからFR車なら少しアンダーステア、FF車なら少しオーバーステアといった感じで調整するのが良いと思います。このあたりは、クルマにどのようなハンドリングを求めるか、また、ご自身のドライビングスキルによります。
アンチロールバー
Q) これは何をするの?
A) まさにその通りです。車が曲がるとき、横方向のGが発生し、車はロールする。ロールすると、体重移動が増え、グリップが失われるため、よくありません。そこで、アンチロールバーは対向する2つの車輪を結び、車輪が相対的に動くと伸びます(これが車がロールするときの動作です)。アンチロールバーはこの動きに抵抗するので、ボディのロールは減少し、グリップの損失は少なくなります。
つまり、アンチロールバーはできるだけ硬いほうがいいということですね?しかし、サーキットは完全なフラットではありません(いくつかの理由がありますが、そのうちのひとつはフラットなサーキットは運転していて退屈だからです)。バンプを乗り越えるとき、バンプは小さく、片方の車輪(左か右)しか乗らないことが多い。つまり、片方の車輪は動いているのに、もう片方の車輪は動いていないことになり、もちろんアンチロールバーはこの動きに抵抗することになります。つまり、せっかくの独立懸架も、アンチロールバーを硬くすればするほど、その独立性は失われていくのです。サスペンションを独立させることは、バンプでの最適なハンドリングを維持するために重要ですが(最大接触面積を維持することが理由の一つ)、それが問題になる前に比較的硬いアンチロールバーを使用することができます。
Q) どう調整すればいいの?
A) バネの硬さのチューニングでも触れましたが、バネ周波数の違いによって、カーバランスは大きく変化します。これは、バネ定数が高いとロールに対する抵抗が大きくなり、ロールによって最大グリップが低下するためです。そのため、アンチロールバーとスプリングを比例させることで、スプリングで設定されたカーバランスを保ちつつ、トラクションを高めることができます。しかし、アンチロールバーの重要な点は、そのバランスを調整することで、クルマのバランスを変えられることです。アンダーステア気味にセッティングしたクルマにオーバーステア気味にすると、それまでの努力(前後のロール剛性の均等化)を打ち消すことになりますから。私は、スプリングだけでカーバランスをかなりニュートラルに設定し、アンチロールバーでオーバーステアやアンダーステアを調整することが多いですね。サスペンションアナライザーは、ロール剛性、つまり車のバランスをどれだけ変えているかを数値とグラフで表示することができます。フロントのアンチロールバーをリアに対して増加させると、コーナリング時にアンダーステアを誘発し、リアのアンチロールバーをフロントに対して増加させると、コーナリング時にオーバステアを誘発します。
アンチロールの剛性は相対的なものですが、絶対的な値はどうでしょうか。これもまた、使用しているスプリングの剛性との相対的な関係です。アンチロールの剛性を上げると(スプリングの剛性を上げずに)、ロール剛性のより大きな部分がアンチロールバーによって与えられます。アンチロールバーがスプリング以上のロール剛性を車に与えるようになると、サスペンションはあまり独立したものではなくなります。
アンチロールバーを硬くすることのもう一つの副作用は、ハンドリングがよりキビキビしたものになることです。これはもちろん、限界を超えたときに車を回復するのがより困難になります。セットアップ・アナライザーの「アンチロール/スプリングロール剛性比」で数値を確認できますが、この値を1.0より大きくすることはお勧めしません。
ステアリング
最大切れ角
Q) これは何をするの?
A)単純に、フルロックしたときに、直線からどれだけ車輪の角度を変えられるか、ということです。どの車種でも9°〜36°の範囲で設定されていますが、ある舵角が常に同じ半径や旋回を与えるとは限りません。例えば、ホイールベースの長い車(XR GTなど)は、ホイールベースの短い車(MRT5など)よりも、同じコーナーで同じラインを描くために、より多くのロックが必要となります。一般的には、ホイールベースの短いクルマはロックが少なくて済むと言われています。
Q) どう調整すればいいの?
A) ゲーム内で最も簡単に設定できる設定です。基本的に感度をコントロールします。ロックが低いと感度が低くなり、その分ステアリングが正確になりますが、オーバーステアの捕らえ方が悪くなります。ロックを高くすると、より敏感になりますが、ステアリングの精度は落ちますが、より大きなスライドをとらえることができます。ロックが高すぎると、コントロールが敏感すぎてオーバーステアを捉えるのが難しくなり、オーバーコレクトのリスクも高まります。クルマの切り替えを容易にするため、全車種とも同じようなセッティングにすることをおすすめします。マウスやジョイスティックをお使いの方は最大ロック量を少なめに、ホイールをお使いの方は(特に通常の240°*ではなく900°回転するホイールをお使いの方は)多めに設定することをおすすめします。オーバーステアを無視すれば、タイトなコーナーでも通常15°以上のロックを使うことはないでしょう。個人的には20〜25°くらいが好きです(オーバルは除く、最低でも9°)。実際のレーシングカーは、a)バック駐車をする必要がない b)経験豊富なレーシングドライバーは、そもそも車を横向きにしない c)これらの車のステアリングラックは、ドライバーがハンドルから手を放す必要がないように、ロックからロックへの回転数が少なく、ハンドルを切るのがより難しくなっている、などの理由から一般車よりずっと低いロックで運転しています。レーシングカーではパワーアシストがないため(重要なフィーリングが低下する)、ステアリングロックが低いとドライバーの腕力が長持ちするのです。
*ほとんどのホイールのロック角は180°から360°です。
ステアリングの感度についてですが、マウスで操作する場合は、センターステアリダクションの設定も大きく影響します。理想的にはCSRを使うべきではありませんが、クルマのコントロール性に大きな違いをもたらす可能性があります。マウスの場合、0.4から0.6の間の値を使用することをお勧めします(個人の好みによります)。より自然な(そしてリアルな)ドライビングエクスペリエンスが得られるので、基本的には自分が心地よいと感じる範囲で低くしてください。
ホイールやジョイスティックを使って操縦する場合、WTC(Wheel Turn Compensation)オプション(Misc.メニューオプションの中にあります)が利用できます。これはCSR(単なる非直線性コントロール)とは異なる方法で動作し、ホイールターン設定と連動します。
Scawenは、ホイールターンとホイールターン補正について説明しました:
「ホイールターン」スライダーバーの意味
さて、このスライダーですが、混乱を招いているようなので、説明したいと思います。
スライダーが解決する問題は:
S2には、ステアリングが720度と大きく曲がるロードカーもあれば、180度とあまり曲がらないMRT5、その中間の大型のフォーミュラーカーなど、さまざまな車があります。
でも、ゲームコントローラのステアリングは、270度くらいしか回らないものが多く、こんなにいろいろな角度に設定できないんですよ。 S1では単純な「非直線性」スライダーしかなかったのですが、ハンドルの回転量が違う車を使うたびに変更する必要があり、非常に不便でした。
解決策:
多くの人は、最も時間を費やす真ん中あたりで、ステアリングが正しくなることを望んでいます。ゲームコントローラのステアリングホイールの回転数が、ゲーム内の車のステアリングホイールよりも少ない場合、当然ながら、フルレンジで使用しようとすると、どんどん曲がるので、ゲームのホイールの方が多く回らなければなりません。新しい「ホイールターン」スライダーバーは、どの車を運転しているかにかかわらず、これを自動的かつ正確に実現します。
スライダーバーの設定方法:
簡単です...。
- まず、選択したゲームカーのハンドルがどこまで曲がっているかは忘れてください。
- ゲームコントローラーのハンドル(机の上にボルトで固定されているもの)を見て、どこまで曲がっているか確認してください。例えば、Red Momo は左右に135度ずつ回るので、合計で270度。ゲームのスライダーバーに270度と設定してください。
- これだけ。他にやることなし!
これで、どの車に乗っても、ステアリングを少し(例えば30度)回すと、どの車に乗っているかによらず、ゲーム内のステアリングは、机にボルトで固定されている自分のステアリングとほとんど同じ動きをします。これは、通常のレーシングコンディションにおけるフォースフィードバックに大きな効果をもたらします。
でも、ステアリングはリニアにしたいんです!
あなただけではありません。ステアリングが完全にリニアであることを好む人もいます。問題ありません。「その他のオプション」にある「ステアリング補正」を下げることで、ステアリングをリニアまたはよりリニアにすることができます(今のところ)。
ステアコンペンセーション 1.0 >
中心部はまさにリアルだが、端のほうではゲームホイールがより動く。
ステアコンペンセーション 0.0 >
いつでもリアルなわけではなく、全領域で完全にリニアなのです。
ロジクール Driving Force Proのホイールは900度の回転が可能なので、すべてのクルマでリニアなステアリングを実現することができます。LFSの「ホイールターン」設定を運転するクルマのものに合わせ、コントロールパネルのDFP FFB設定で「回転角度」を同じ数値に設定するだけで、リニアステアリングを実現できます。そうすれば、ステア補正は影響を受けないはずです。付録として、各車両のロックトロック回転数のリストがあります。
サスペンションのモデリングが新しくなったため、以下の設定の一部がLFSで調整できなくなりました。ガレージの「View Susp」オプションで確認することができるこれらの設定値について、理解を助けとなるように、説明を残しておきます。
キャスターと傾斜角
LFSでは傾斜角が調整できなくなりました
Q) これらは何をしているの?
A) 簡単に言うと、ロックをかけると(どちらかの方向に)キャスターは、操舵された車輪に負のキャンバーを加えます。キャンバーを取り除くと考えればよいでしょう。キャンバーの説明は後述します。キャスターは傾斜と一緒に、コーナリング時に地面との接触面積を最適に保つために使われます。
傾斜角はキャスターと非常によく似ていますが、もう少し複雑です。ステアリングの量と車輪の向きの両方によって、車輪のキャンバーを変化させます。内輪(曲がるときの内側にある車輪)にはネガティブなキャンバーが付き、外輪には同じ量のポジティブなキャンバーが付きます。
さらに複雑なことに、キャスターと傾斜角(C&I)は同じ割合でキャンバーをホイールに付加するわけではありません。キャスターは直線的にキャンバーを付けますので、ホイールを1度回すごとに、それだけのキャンバーがホイールに付きます(ただし、その量はキャスターの設定に依存します)。一方、傾斜角はキャンバーを直線的に付加しません。低舵角ではわずかなキャンバーしか付加せず、ステアリングロックをかけると、1度あたりの付加量が増えていきます。もしこれがあまり明確でなければ、おそらくキャスター/傾斜角/スクラブ半径のグラフが役に立つでしょう(付録を参照)。
Q) どう調整すればいいの?
A)キャスター、傾斜角、フロントキャンバーは一緒に調整する必要があります。その利点は、コーナリング時に内輪と外輪の両方をできるだけフラットにできることです。しかし、LFSでは傾斜角は調整できなくなり、キャスターはレーシングカーでのみ調整できるようになりました。ただし、傾斜角は車高によって(若干)変化します。この説明の続きは、傾斜角のスライダーがあったときに書いたもので、それを変更するのは面倒なので、以下のパラグラフを読むときは、それを念頭に置いてください。
傾斜角はキャスターに比べて影響が小さいので、特にレースで使用するステアリング角(通常10度以下)では、キャスターに比べてかなり傾斜角を大きくすることになると思われます。このバージョンのLFSでは、サスペンションがボディロールに応じたキャンバーを適用しないため、現時点ではキャンバー・傾斜角(C&I)ともに非常に高い値が必要で、LFSでは現実に必要な値よりも多く必要です(ただし、これは近々変更される予定です)。より多くのキャンバー・傾斜角(C&I)が必要とされる理由は3つあります。
- ソフトなセットアップにすればするほど、ボディのロールは大きくなり、ロールを誘発するキャンバーが打ち消されることになります。
- フロントホイールのスタティックキャンバーが少ないほど、C&Iで補う必要があります。
- サーキットのコーナーが狭ければ狭いほど、ステアリングロックをかける必要があるため、C&Iによって適用されるダイナミックキャンバーの量は増えます。この場合、C&Iを減らす必要がありますが、直線的なコースではより多く(オーバルの場合、かなり多く)必要です。
もうひとつ考えられるのは、コーナーの角度が大きく変化する場合(ほとんどのサーキットがそうです。ブラックウッドなどはコーナーがかなり似ています)、同じ横Gでコーナリングすることになり(少なくともダウンフォースのない車では)、同じボディロールになるので、コーナリング中に同じ量のキャンバーを車輪につけることが理想的です。この場合、スタティックキャンバーを大きくし、ダイナミックキャンバー(C&I)を小さくすると、内輪のグリップが犠牲になりますが、全体として良い効果が得られるかもしれません。
ダウンフォースは、ここでも重要な役割を担っています。以前、サスペンションの振動数について説明したように、ダウンフォースはボディロールに影響を与えるので、キャンバーやキャスター、傾斜角を調整する必要があります(これでも十分難しいのですが...)。ダウンフォースは、ドライバーの夢であり、エンジニアの悪夢です。
サスペンションアナライザーの最新バージョンでは、C&Iタブが追加され、C&Iに関する悩みを解消することができます。ただ、実際のレースデータを見ることができるのはF1PerfViewだけなので、セッティングがうまくいっているかどうかのチェックは、F1PerfViewにお任せすることになります。
スクラブ半径
LFSでは調整出来ません
LFSではあまり使えない設定でしたが、スクラブ半径は今でもサスペンション情報の中に表示されており、ホイールのキャンバーによって変化するため、この説明をガイドに残しました。
Q) これは何をするの?
A) 残念ながら、これは簡単に説明できるものではありません。混乱を持ち込むよりは引用します:
「ステアリング軸を通り、地面/コンタクトパッチと交差する点まで3Dラインを引きます。その点からホイールの幾何学的中心までの水平方向の距離が、スクラブ半径です。」
わかった?素晴らしい。
キャスター/傾斜/スクラブ半径のグラフを見ると、参考になるかもしれませんね(付録参照)。
Q) どう調整すればいいの?
A) さて、スクラブ半径には3つの条件、プラス、ゼロ、マイナスが考えられますが、順に説明します。
スクラブ半径をプラスにすると、曲がるときの抵抗になり、車を安定させることができます(よく車に「フィーリング」を与えると言われます)。スクラブ半径を大きくすると、キャスターキャンバーがわずかに減少し、傾斜キャンバーにはさらに小さな影響を与えます。
ゼロスクラブラブは基本的に車のハンドリングに影響を与えませんが、これがないとハンドリングが少しナーバスになるため、ある程度プラスのスクラブ半径が望ましいとされています。
ネガティブスクラブラブの効果を知っていると言ったら嘘になりますが、推測するに、ポジティブスクラブラブと逆の効果があると思います。つまり、カーブへの進入を促すので、直線では不安定になり、ふらつき始めることもあります。
パラレルステア
Q) これは何をするの?
A) アッカーマンとも呼ばれ、ステアリングをロックすると、車輪にトーアウトがかかります(トーについての説明は後述します)。車が曲がるとき、外側の車輪は内側の車輪よりわずかに大きな回転半径を描くので、車輪の角度をわずかに変えるのが理想的であり、そのためこの設定が役立ちます。100%に設定すると、ターンの間、ホイールは完全に平行に保たれ(静的なトーが無視される)、100%以下の設定では、任意のステアリング角に対してより多くの動的トーアウトが適用されます。0%では、真のアッカーマンステアリングが動作しています。
Q) どう調整すればいいの?
A) 実際のレーシングカーはアッカーマンを使わないのが普通ですが、適切なセッティングをすることで、もう少しグリップが増すはずです。残念ながら、このセッティングを見つけるには時間と忍耐が必要です。最適な値を見つけるには、コーナリング中にタイヤの鳴きが変化するのを聞くのが一番です。もちろん、フロントのスタティック・トーはこの値に影響します。実際のレーシングカーがアッカーマンを使わないのは、前輪にスタティック・トーアウトを採用しているからだと思います(その理由は後述します)ので、すでにホイールは異なるラインを描いており、ダイナミックなトーアウトは必要ありません。スタティック・トーアウトを使わない場合と、スタティック・トーインを使う場合では、アッカーマンを使った方が有利な場合があります(後者の場合はアッカーマンを多めに設定する必要があり、LFSの設定画面で値を小さくしてください)。アッカーマンに影響を与える他の要因としては、トラック幅とホイールベースがあります。トラック幅が広いと、前輪がとる円弧の差が大きくなるため、アッカーマンを多く設定する必要があるのです。ホイールベースは、ステアリングロックが一定であれば、ホイールベースの長いクルマの方が大きな半径で曲がれるからです。言い換えれば、同じコーナーを曲がるのに、より多くのステアリングロックが必要になるということです。
車輪
トーイン
Q) これは何をするの?
A)ゼロトーは車輪が水平に平行な状態、トーインは車輪の軌道が交差しようとする状態(言い換えれば、車輪の前部が後部にわずかに近づく)、トーアウト(または負のトーイン)はトーインの反対であることです。
Q) どう調整すればいいの?
A) トーは車輪の角度を1度未満変えるだけでも、クルマのハンドリングに大きな変化をもたらします。この変化がどう起きるかは、トーを変えるのが前輪か後輪かによって違います。
フロントタイヤ
理想はトーがない状態(ガレージでは0)です。これは車輪がきれいな直線で走行するため、抵抗が最も少なくなります。しかし、トーがない場合、車輪がふらつきやすくなります(直進時に車が左右に少しずれる)。このため、トーインで安定させ、直線を維持するようにします。これは2つの不利をもたらしますが、1つ目は、タイヤの転がり抵抗がわずかに増え、クルマの速度がわずかに遅くなることです。さらに重要な2つ目は、曲がるときの抵抗が大きくなり、レースには不向きなことです。このことを考慮すると、一般車は通常、前輪にトーインを使用し、レーシングカーは通常、前輪にトーアウトを使用します。
では、なぜトーアウトなのか?トーインほど顕著ではありませんが、これも若干の安定化効果を生み出します。しかし、トーアウトにすることで前輪の進入が促され、レースでは有利になりますが、直線ではハンドリングが不安定になります。速いセットアップは運転が難しいことが多いので、速さと自分の才能の妥協点を見つけるのがベストです。直接の関係はありませんが、現代の戦闘機は、コンピューターの補助なしにまっすぐ飛ばすのが不可能なほど神経質になっているそうです。しかし、信じられないほどよく曲がります。もし、直線でクルマがふらつかないようにするのに苦労しているのなら、トーインが必要かもしれませんね。
リアタイヤ
後輪でも、トーがゼロであることは理想的なセッティングですが、後輪のトーはハンドリングに大きな影響を与えます。しかし、前輪とは異なり、後輪のトー設定は駆動方式に依存します。
FF車の場合、トーアウトを選択するのが一般的です。FF車の場合、アンダーステアは戦力不足になるので、オーバーステアになるようにセットアップする必要があり、トーアウトを使うとターン中にリアが少し回るようになります。少量のトーアウト(ネガティブトーイン)でも大きな違いが出て、ガレージで0.3設定しただけでも大きすぎるかもしれません。多くのセッティングでは、後輪のトーインが小さく、それをサスペンションのセッティングで補っているような気がします。サスペンションのセッティングをよりニュートラルにし、トーイングを大きくすることで、オーバーステアがより自然になるように思います。ただし、やりすぎるとブレーキング時にリアがふらふらすることがあります。
FR車の場合、トーアウトはあまり良いアイデアではありません。FR車はパワーがかかるとオーバーステアになりやすいので、後輪をトーイングアウトするとオーバーステアが顕著になり、パワーをかけるのが非常に難しくなります。そこで、必要なのがトーインです。トーインが大きいほど、パワーがあってもなくても、耐オーバーステア性が強くなる。車種にもよりますが、0.5くらいまでなら大丈夫だと思いますし、リアエンドを本来あるべき位置に保つことができます。また、トーが大きくなるとタイヤの温度が上がり、タイヤの磨耗が早くなります。
キャンバー調整
Q) これは何をするの?
A) キャンバーがないと車輪が垂直方向に平行になり、キャンバーがつくと車輪の底面が上面に近づき、逆にキャンバーがつくと上面が底面に近づきますから、ある意味トーと似ています。しかし、その効果はトーとはまったく異なります。キャンバーの目的は、コーナリング時のコンタクトパッチをフラットに保つ(つまりできるだけ大きくする)ことです。キャンバー調整値は、ホイールのキャンバーではなく、キャンバー調整スライダーの右側に表示されるライブキャンバー値です。常にこの値を見ておく必要があります。また、この値はコーナリング中に変化するので、ガレージにいるときよりもレース中にライブキャンバーを分析する方が良いことに注意してください。レース中(またはリプレイ中)にShiftLを押すと、ガレージの外でもこの情報を見ることができます。
Q) どう調整すればいいの?
A) 各車種のサスペンションシステムの多くは、ボディロール時にキャンバーを付加していますが、ボディロールを打ち消すには十分ではありません。サスペンションの設定にもよりますが、コーナリング中のタイヤのキャンバーは通常フラットにはなりませんので、キャンバー調整でフラットにするのが理想的です。LFSでは、タイヤの磨耗と荷重のライブ情報(車内でF9を押す - この画面の説明は付録にあります)が便利で、タイヤのどの部分に最も荷重がかかっているかを確認することができます。これらのバーが等しいとき、タイヤは地面に平らになっています。このシステムのもうひとつの利点は、コースのキャンバー(雨天時にコース上に水がたまるのを防ぐために、ターマックの表面はしばしば湾曲している)をあまり気にする必要がないことです。ただし、コーナーごとに大きく異なる場合は、すべてのコーナーでタイヤを完全にフラットにはできないので、ある程度の妥協は必要です。
また、キャンバー調整には、タイヤの摩耗も考慮する必要があります。短い距離のレースでは、コーナーでタイヤをフラットにするのが一番速いのですが、長い距離のレースでは、コーナーとストレートの組み合わせで、片側のタイヤがより磨耗してしまう可能性があります。定期的なタイヤ交換を避けたい場合(タイヤの片側が早く熱くなり、タイヤの摩耗が進み、グリップが低下する)には、キャンバーアジャストでタイヤ幅を均等にする必要があります。このセッティングは、コーナリング中にフラットなタイヤと同じようなセッティングになるでしょう、ほとんどの場合いずれ摩耗してそうなるのです。 とはいえ、やはり気になるところ。特にLFSのタイヤは、荷重よりも熱に敏感なようです(コーナリング中のフラットキャンバーなど)。
また、直進時のキャンバー量もブレーキングに影響します。タイヤの扁平率が低いとグリップ力が低下するので、減速しにくくなります(ただし、キャンバー量が多くない限り、この影響はかなり小さいです)。
さらに、前輪だけが複雑なのですが、前輪は操舵されているので、キャスターと傾斜という形でダイナミックキャンバーもついています(先に説明)。つまり、半径の異なるコーナーでは、前輪のキャンバーが異なるということです。
トレッド
LFSでは調整できません。
スライダーで調整することはできませんが、車高やキャンバーによって軌道は多少変化します(そのためバンプも変化します)。さらに言えば、フロントとリアで異なるので、特にサスペンションをセットアップする際には、その影響を知っておく必要があります。というわけで、以下のような説明をガイドに残しました。
Q) これは何ですか?
A) トレッド幅は単純に、左右のタイヤの距離のことです。
Q) どう調整すればいいの?
A)簡単に言うと、トレッドが広ければ広いほどグリップが増すということです。リヤのトレッドを広くすればアンダーステアが出やすくなると思うでしょう。しかし、路面幅を広げるとリアの転がり抵抗が大きくなり、サスペンションのチューニングで話したように、オーバーステアが強くなってしまうのです。だから、理想をいえば、車幅を最大にして、フロントかリアの車幅を少し小さくして、クルマのバランスを調整するのがよい。
しかし、トレッドを大きくすると、(車幅が大きくなりすぎる以外に)ひとつだけデメリットがあります。これは直進安定性を低下させる。特にUF GTRは、足元がとても四角いんです。
ファイナルギア
ファイナルギアレシオ
Q) これは何をするの?
A) 自動車のエンジンは、車輪を直接駆動するにはクランクシャフトの回転速度が速すぎるため、車輪の回転速度を適切に下げるために歯車による減速が行われる。これは車輪のトルクを倍増させる効果もあります(パワーには影響しません。トルクに回転速度をかけたものがパワーなので、トルクを2倍にすると回転速度も半分になり、パワーは変わりません)。
Q) どう調整すればいいの?
A) 非常に簡単で、サーキットで一番長いストレートの終わりに、トップギアでエンジンの回転数が最大になるように設定します。数値が高いほど減速度が高くなり、特定のギアでどの速度でも回転数が高くなります。その結果、より大きなトルクが得られ、より大きな加速が得られます。
また、それぞれのギア比の効果は掛け算になるので、それぞれのギア比を意識したチューニングが必要です。一つのコースで個々のギア比を思い通りに設定し、異なるコースでのトップスピードの変化に応じてファイナルドライブレシオを調整するのが最も有効な方法です。
フロント/センター/リア ディファレンシャルタイプ
Q) 何をするものなの?
これらは一つずつ説明するのが一番です。
ロックデフ (本質的にはデフ機構が存在せず、ダイレクトドライブとも言われる)
クルマがコーナーを曲がるとき、外側の車輪は内側の車輪より少し長い距離を走り、前後輪も少しずつ違う距離を走るので、実は4輪とも違うラインでコーナーを曲がります。ダイレクトドライブ方式では、駆動輪がすべて固定されているため、同じ速度で回転しなければならない。当然、最も遠くまで回らなければならない車輪がスリップし、抵抗となる。つまり、スリップした車輪がブレーキ効果を発揮し、車の外側を減速させ、車をまっすぐにしようとするため、車はあまり曲がらないのです。
二輪駆動システムでは、操舵輪(つまり非動力輪)を連結することは通常ないため、この問題は多少軽減される。もちろん、複数のモーターを使わないで駆動輪を連結することはできないので、ディファレンシャルという解決策が必要になる。
オープンデフ
ディファレンシャルの最もシンプルな形は、オープンディファレンシャルです。これは、車輪が異なる速度で回転することを可能にする装置です。コーナリング時のタイヤスクラブの問題を解決します: 一方のホイールのグリップが他方のホイールより低い場合、一方のホイールが空転することを可能にします。コーナリング中に車重が移動すると、外側の車輪のグリップ力が増すため、この現象が発生します。一旦空転すると抵抗が少なくなるので、グリップを回復するかパワーを落とすまで空転し続けることになる。また、オープンデフは両輪に均等にトルクを与えるので、抵抗のない車輪にはトルクがかからず、グリップのある車輪にはトルクがかからず、加速が損なわれます(まさにレースで起きてほしくないことです)。私の知る限り、自動車レースでオープンデフが使われることはなく、何らかの形でLSDが使われているようです。
LSDシステムの唯一の欠点は、デフに送るトルクが大きすぎると、両輪が同時に回転してしまい、片側のグリップが低下してしまうことで、駆動レイアウトの違いによるハンドリング特性がはっきりと出てしまう。LFSには2種類のLSDがあり、どちらも可変ロッキングの性質を持っています。
機械式LSD(クラッチパックLSD)
片方の車輪がすべてのトルクを得るのを防ぐ簡単な方法は、ドライブシャフトの間にスプリングとクラッチを設置し、2つの車輪が同じ速度で回転するようにすることです。つまり、両輪のトルク差がクラッチの摩擦に打ち勝つほど大きくなければ、異なる速度で回転させることはできないのです。プラス面では、これはパワーをより効果的に地面に伝えることができることを意味しますが、ロックされたデフの問題が再び発生し始めます(明らかにレベルは下がりますが)。
また、クラッチ式LSDには様々な種類がありますが、LFSに採用されているのはプログレッシブLSD とかSalisbury LSD と呼ばれるものです。これは、デフにトルクがかかるとデフがよりロックしてしまうというものです。
ビスカスLSD
クラッチを使う代わりに、ビスカスカップリングというものがあります。動作原理は省略しますが、基本的にビスカスカップは速度に敏感で、ある車輪が他の車輪より速く回転すればするほど、遅い方の車輪にトルクが伝達されます。つまり、ビスカスデフにはロック係数がなく、無段階に変化し、片方の車輪が滑り始めるまではオープンデフのように作動し、その後徐々にロックが強くなっていくのです。そのため、一時的にではありますが、片輪を回転させることが可能です。このため、ビスカスデフは、クラッチ式デフのようなロックデフの問題を再提起することはありません。しかしながら、パワーを地面に落とす効果は低く、また足で直接コントロールできない可変性のため、車のハンドリングが予測しにくくなる可能性があります。
ディファレンシャルの仕組みについて、より専門的な情報をご覧になりたい方は、http://www.howstuffworks.com のディファレンシャルの記事をご覧になってください。また、様々な種類のディファレンシャルに関する情報をここに掲載しています:
http://forum.rscnet.org/showthread.php?t=215699.
Q) どれを選べばよい?
これはとてもシンプルな選択です。ロック付きディファレンシャルは、コーナリングを伴うタイプのレースには不向きですが、パワーハンドリングには最適です。このため、ドラッグレースには理想的ですが、それ以外では避けた方が無難です。オープンデフは、エンジンのトルクが非常に小さく、片輪が空転することが稀で、あまり問題にならない場合にのみ、LSDの代わりに使用します。ビスカス式LSDは、非常にタイトなサーキットや、あまりパワーのないエンジンに適しています。しかし、十分なパワーがあれば、クラッチパック式LSDのメリットはデメリットを上回ります。
フロント/センター/リア ディファレンシャルスリップリミット
Q) 何をするものですか?
A) 選択されたLSDの種類によって、さまざまなオプションが用意されています。ビスカスデフの場合、液体の粘度を調整し、トルク伝達の速度を変化させます。クラッチ式デフの場合は、デフのロックによってホイールスリップ時のトルク伝達量を変化させ、パワーとコーストで別々に調整することが可能です。
注:XF GTiとXR GTでは、セットアップの簡略化のため、クラッチ式デフのロック量はパワー側とコースト側で等しくなっています。
Q) チューニングの方法を教えてください
A) LSDの種類によって異なりますので、分けて説明します。
ビスカスカップリング
よりシンプルな、このタイプから説明します。ここで変えられるのは、カップリング内の液体の粘度だけです。高めに設定すると、片方の車輪がもう一方の車輪と異なる速度で回転し始めると、より早くロックするため、ホイールスピンが目立たなくなり、パワーを地面に伝えやすくなる。デフの設定値が高すぎると、FR車の場合、後輪が抜けやすくなりますが、同時に抜ける閾値も高くなります。FF車の場合は、アンダーステアが強くなるので、デフセッティングに対する抵抗性が高く、それを抑えるようなセッティングが必要です。ビスカスデフは、低出力のFR車にのみ使用するのがベストです。
機械式LSD(クラッチパックLSD)
ここで設定できるのは、パワーとコーストの2つのロックファクターです。パワー ロックファクターはエンジンからタイヤへトルクを伝達する際のデフのロック量、コースト ロックファクターはタイヤからエンジンへトルクを伝達する際のデフの挙動を制御します。この2つ目の状況は、エンジンブレーキ時、および車両を加速させるのに必要なスロットル量よりも少ないスロットル量のときに発生します。そのため、コースト設定を高くすると、ブレーキング時に片輪がロックする可能性が低くなり、リフトオフ時のオーバーステアが車のバランスに与える影響も小さくなります。同様に、パワーの設定を高くすると、パワーで片輪が空転する可能性は低くなりますが、FR車ではパワーオーバーステアが強くなります。目安としては、パワー側を低く、コースト側を高くすると運転しやすく、パワー側を高く、コースト側を低くすると速くなる、というように、自分の技量や好みに合わせて調整してください。
FF車の場合、パワー側のデフをロックさせると、外輪にトルクが伝わるので、より速く走ろうとし、ターンインが増えるというちょっと変わった性質があります。つまり、パワーアンダーステアは起こりづらく、FF車ではパワー側のロック値にとても大きな値を使うことは普通です。
また、付録のトルク伝達グラフを見れば、滑っていない方の車輪(コーナリング時の外側の車輪)にどれだけトルクが伝達されるかが分かります。
プリロード
プリロードを大きくすればするほど、「パワーオン」から「エンジンブレーキ」(またはその逆)へ変化するときに、ロックデフのような挙動を示すようになります。プリロードのないクラッチパックLSDは、トルクが作用しないと(オープンデフと同様に)完全に開いてしまうので、LSDの安定効果に頼っていると、非常に悪い影響を与えることになります。
そのため、主にコーナーに向けてブレーキングした後の、まだほとんどスロットルを踏んでいない短い時間(デフにニュートラルな負荷がかかっている状態)に影響が出ます。その状態でクルマがオーバーステアになるようなら、プリロードを追加してください。もし、曲がりにくくてずっとアンダーステアになってしまうようなら、プリロードを抜いてください。
フロントトルクバイアス
Q) これは何をするものですか?
A) AWD車でのみ使用可能で、前輪に送るトルクの割合です。例えば75%に設定すると、75%のトルクが前輪に送られ、残りの25%が後輪に送られることになります。
Q) どのようにチューニングすればよいのですか?
A) これは、あなたがどのように車を運転するのを好むかによります。FF車のようにパワーアンダーステアが好きなら、前輪に40%以上のトルクを送るようにし、逆にFR車のようにパワーオーバーステアが好きなら、前輪に25%以下のトルクを送るようにします。本当のAWDは、コンピュータ制御の電子制御デフを搭載している車を除いて、前輪に25%~40%のパワーを送る傾向があります。AWDの本当のメリットは、パワーがあってもニュートラルであること(つまり、アンダーやオーバーステアがないこと)と、タイヤの温度が一定であることだと私は考えています。パワーのあるクルマほど、前輪に送るパワーの割合を少なくして、ニュートラルな状態を保つことができる。スーパーカーの多くがFRにこだわる理由のひとつは、ほんのわずかなパワーを前に送るために、重量と複雑さが増すことに見合わないからです。パワースケールの最上位(ここでは600bhpを超えるパワーを指している)では、AWDが再び好まれる傾向にある。2つのタイヤだけでは、そのトルクに対応できないため、AWDはホイールスピンを防ぐために使われ、賢い電子制御によって大きなパワーアンダーステアを防ごうとしています。現在、AWDのクルマは2台しかないので、具体的に紹介しましょう。RB4 GTはトルクバイアスを約35%に、FXO GTRは約25%に設定するとうまくいきます(フロントタイヤが扱えるパワーは限られているので、パワフルなクルマほどバイアスを低くすべきです)。
個別ギア比
Q) ギヤは何のためにあるのですか?
A) 内燃エンジンは回転数が高いときにパワーを発揮するので、ギアが1枚だけでは低速での加速が悪くなります。もちろん、引き離すだけでクラッチが焼けてしまうのは言うまでもない。多段ギヤにすると、低速域のトルクが増して加速がよくなりますが、エンジンはそれほどは高回転まで回らないので、ギヤチェンジが必要になります。ギアチェンジをしている間は、加速していないことになります。そのため、適切なギヤ段数を選ぶことが重要なのです。そのため、レーシングカーは6か7くらいの枚数を使い、一般車もそれに近い枚数を使っています(少なすぎると加速が悪くなり、多すぎるとギアチェンジの回数が増え損失が多くなり、さらにギアボックスが重くなったり複雑になったりします)。レシオを上げるとギアが短くなり(そのレシオで到達可能な最高速度が下がるため)、レシオを下げるとギアが高くなることが知られています。
Q) どのようにチューニングすればよいのですか?
A) 個々のギア比を設定する際に、いくつかの点を考慮する必要があります。まず、本当にすべてのギアが必要なのでしょうか?最高速度がかなり低いトラックでは、頻繁にギアを変更する必要があり、すべての比率が非常に近いと感じるかもしれません。このような状況では、トップギアを使わない、あるいはトップから2枚を使わないことでタイムが上がるかもしれません(サウスシティ・スプリント・トラック2のような場合)。使用可能な最大ギア数より少ない場合、使用しないギアをその前のギアと同じ比率に設定し、自動ギアリング補助機能がそれ以上変更しようとしないようにするのがベストです(使用した場合)。
まずトップギアをトップスピードに合わせるのがベストです。しかし、ここで少し複雑なことがあります。最高速度が車両の最高速度でもあるコースでは、エンジンがピークパワーを出す回転数と同じ回転数で最高速度に到達したいものです。最高速度に比例して、到達可能な最高速度も低くなっていくので、エンジン回転はピークパワーの回転数をどんどん超えていくようにしたい。ただし、あまり短すぎるとエンジンにダメージを与えるので、ほどほどに。
次に、1速の扱いです。1速はできるだけ高くして、離脱するときにエンジンが詰まらないようにします。また、トルクの掛け算を減らすことで、ホイールをスピンさせる可能性を減らし、クリーンな発進を維持し、オフ・ザ・ラインでの加速に最適です。
最後に、ギアを適切に配置する必要があります。各ギヤ比の差は、ギヤを上げるごとに小さくなっていくはずです(つまり、ギヤを上げるごとにエンジン回転の低下が少なくなっていく)。コーナーでブレーキングを始める2秒前にギアチェンジが必要であったり、コーナーから加速し始めるとすぐにギアチェンジする必要があるのは好ましくありません。
ここで私が作った Gear Ratio Calculator が役に立つかもしれません。入力したギヤ設定に基づき、速度、ホイールトルク、その他さまざまな情報を(数値とグラフの両方で)表示できます。あまり正確ではありませんが加速時間の推定も表示され(今後改善される予定)、ないよりは参考になります。
エンジン回転数-車速グラフの例と、インギアホイールトルクカーブの例。
タイヤ
種類
Q) これらは何?
A) LFSのタイヤには、このようにさまざまなトレッドパターンが用意されています。レーシングカーではコンパウンドの違いもあります。トレッドパターンの違いによって、路面へのグリップが異なるので、そのコースに最適なタイヤを選ぶことが、最高のグリップとハンドリングを得るために重要なのです。また、コンパウンドの違いにより、路面へのグリップや摩耗が異なるため、レースの長さやピットストップの制限によっては、異なるタイプのタイヤを選択する必要があります。
Q) どれを選べばいいの?
A) 今のところ、これはかなり簡単なことなのですが、タイヤの選択は車のクラスによって異なります。
ロードカー
「ロードスーパー」は、ドライターマックでは「ロードノーマル」よりも少しグリップが高いので、特に迷うことはありません。「ロードノーマル」はトレッドの摩耗が少ないので長持ちしますが、「ロードスーパー」は燃料が満タンになれば長持ちするので、燃料補給の際に同時に交換した方が良いでしょう。
「ロードノーマル」は、理論的にはウェット路面でのハンドリングが良くなるはずだが、天候の影響が出るのはまだ先なので、今のところメリットはない。ラリークロスでは、「ハイブリッド」か「ノブリー」のどちらかを選択することになる。ダート区間では若干遅くなりますが、ターマック区間ではスピードが出ますので、ハイブリッドタイヤがベストだと思います。ただし、ドライビングスタイルによっては、「ノブリー」タイヤのほうが速く走れるかもしれないので挑戦してみてください。
ロードノーマル "タイヤの使い道としては、パワフルなクルマのドライビングを習得することが挙げられます。ノーマルタイヤをFRなら前輪に、FFなら後輪に装着すると、パワーオーバーやアンダーステアの傾向が大幅に緩和され、運転がしやすくなります。ただし、コーナリング速度が落ちるので、サーキット走行では遅くなります(全車輪ベストタイヤの場合よりラップタムは決して良くはなりません)。クルマに慣れるためのアイデアですが、クルマの操作に慣れると、全車輪に「スーパー」タイヤを履いたほうが速くなります。
ただし、「ロードノーマル」は「ロードスーパー」よりも最適温度が低い。UF1やXFG、XRGのような低速のクルマに "ノーマル "を装着するのは、"スーパー "よりも良い選択です。なぜなら、これらのクルマは最適なラインを走行しながら、"ノーマル "の温度を上げるほど速くはないのですから。
レースカー
LFSでは4種類のスリックコンパウンドが用意されているが、3種類以上のスリックコンパウンドを装着できるマシンはありません。4種類とはR1(最も柔らかい)からR4(最も硬い)です。柔らかいタイヤはグリップが高いですが、摩耗が早く、硬いコンパウンドはその逆です(正確な数値は横の表G「C」を参照)。最適なコンパウンドかどうかを判断するには、タイヤの温度を見るのが効果的です。最適な温度に近ければ近いほど、良いということになります。タイヤの温度がなかなか上がらない場合は、柔らかいコンパウンドを、数周でオーバーヒートするようであれば、硬いコンパウンドを試してみてください。
グリップを高めるためにタイヤを交換すると、より大きな力がかかるため、車体のロールが大きくなります。そのため、粘りのあるタイヤには、硬いサスペンションと高い車高の組み合わせが必要になることが多いです。
空気圧
Q) これは何をするの?
A) タイヤの空気圧は、荷重によるタイヤの変形、地面との接触面積、車のハンドリングに影響を与えます。
Q) どう調整すればいいの?
A)タイヤの空気圧が低ければ低いほど、接地面積が大きくなり、路面の小さな凹凸をすべて見つけることができるため、より多くのグリップが得られるはずです。実際、トップフューエルドラッグスターのタイヤは、非常に粘着性が高く(しかし摩耗が速い)、6.0gまで引き上げることが可能です。このようなタイヤは、ドラッグストリップで3回ほどしか使えません(1マイル未満の加速です)。タイヤ圧が低いと転がり抵抗が大きく(そのため発熱が早い)、摩耗が早いので、頻繁に交換する必要があります。
タイヤ空気圧が高いと、コーナリング時にタイヤがたわみにくく、コントロールしやすくなり、ハンドルを切ってからタイヤが動くまでのタイムラグが少なくなります。通常使用するタイヤ空気圧はこの程度です。しかし、温度やトレッドの磨耗を考えると、このタイヤ空気圧の最適範囲はかなり狭いのが一般的です。空気圧が高すぎるとタイヤの中央部が最も早く摩耗し、低すぎるとタイヤの端部が最も早く摩耗します(サーキットでは左右のコーナーがあるため、どちらかの端部が多く摩耗します)。また、空気圧が高いほど発熱が遅く、同じドライビングスタイルであれば、レース中は一般的に低い温度で走ることになる。そのため、タイヤが最適な温度に近づくように空気圧を調整する必要がある。
また、タイヤの空気圧が低いとハンドリングが悪くなるので、空気圧を高めに設定した方が良いということも指摘しておきます。
LFS Gear Ratio Calculatorは、タイヤの変形やコンタクトパッチの情報も提供してくれますが、空気圧を調整するのにはあまり役に立ちません。
ダウンフォース
フロント/リアウィング角度
Q) これらは何をするの?
A) とても単純です。大きな角度をつけると、ダウンフォースが増加する代わり、ドラッグ(抵抗)が増えます。正確にどのくらいの値となるかはスライダの隣に表示されています。
Q) どう調整すればいいの?
A) ダウンフォースがもたらす主な効果は、チューニングする上でとてもシンプルです。タイヤにかかるダウンフォースの増大は、グリップの増加をもたらしますが、通常それに伴う余分な質量は発生しません。そのため、コーナーリングをより速くすることができます。翼角を大きくすればするほど、コーナリングは速くなる。しかし、ウィング角度が高くなると、車の抵抗が増え、加速と最高速度が低下する。LFSギヤ比計算では、ダウンフォースの設定によるグリップの向上と最高速の低下を表示しています。
ダウンフォースを強くしすぎると、ストレートでのスピードの低下が、コーナーを速く回ることによるタイムアップを上回ってしまうので、バランスを取る必要があります。
残念ながら、バランスをとるには試行錯誤するしかありません。一般的には、高速サーキットであればあるほど、ダウンフォースは小さくしたいものです。
しかし、ダウンフォースの副次的な影響はもっと複雑で、次のようなものがあります:
- スピードに応じた重量配分の変化(フロントとリアのウィングの角度が重要になる)
- スピードに応じたスプリングの振動数の減少(必ずしも前後均等ではない)、これはスピードに応じたボディのロールの増加を意味し、ダンピングの設定がより複雑になります。
- 速度が上がると車高が下がる(地面に接しないことを確認要)
- 速度が上がるとタイヤの変形が大きくなる(ギアリングやタイヤ空気圧に影響する)
- グリップを最大限に生かすためのブレーキセッティングの変更
これらのことは、それぞれのセクションで説明していますが、ダウンフォースによって変化する重量配分は、バネレートが固定されている分、クルマのバランスに影響を与えるので、改めて説明します。高速走行時にアンダーステアが強くなるようであれば、リアウイングの角度を小さくするか、フロントウイングの角度を大きくする。同様に、高速走行時にオーバーステアになるようであれば、逆の操作を行ってください。
ゲーム中には表示されませんが、Gear Ratio Calculator に組み込まれているので、簡単にエアロバランスを調整することができます。
ニュートラルな空力バランス(速度に応じてアンダー/オーバーステアが増加しない)を保つには、上のスクリーンショットの「空力分布」が、クルマの重量分布(情報タブに表示)と等しくなるようにします。極低速では「力配分」が重量配分と等しくなるので、これでタブを切り替える手間が省けます。
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